エレベーターを所有・管理していると「保守点検費用」が維持費としてかかります。
この費用が負担となって悩んでいるオーナー様も多いのではないでしょうか？
この記事では、保守点検費用を削減する方法を解説しています。

エレベーターの点検には「定期検査報告」と「保守点検」の2種類があります。
定期検査報告は、1年ごとに1回点検を行うことが、管理者の義務になっています。
しかし、エレベーターの保守点検については具体的な点検周期は決められていません。
但し、建築基準法第8条には以下のように記載されています。
 
第8条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
建築基準法 第8条
 
つまり、エレベーターの保守点検は義務でなくとも常に「安全性」や「性能性」を保持するためにも必要な点検なのです。
もしも、経費削減をしたいからと言って保守点検を怠っていると、重大な事故が起きた時には管理者の責任が問われることになります。
そうならないためにも、定期的な保守点検はきちんとした周期で行いましょう。
保守点検の周期は、メンテナンス会社の方針にもよりますが1〜3ヶ月に1回の頻度が一般的です。

エレベーター保守点検の費用を削減する方法は、以下の2つです。

では、それぞれ具体的に解説していきましょう。

保守契約内容には、大きく分けて「フルメンテナンス契約」と「POG契約」の2種類があります。
フルメンテナンス契約とは、費用に部品交換や修理の費用が含まれているタイプの契約形態です。
フルメンテナンス契約は別途、交換や修理費用がかからないため、点検費用が一定で予算が把握しやすくなります。
しかし、フルメンテナンス契約は費用削減の観点から考えると少々割高です。
一方で、POG契約は毎月の点検費用が安く抑えられ、修理や部品が必要になった時だけ別途料金が発生する契約です。
フルメンテナンス契約にかかるメンテナンス費用は年間50万円前後ですが、POG契約は年間30万円程度に抑えられます。
同じメンテナンス会社でも、契約内容を見直すだけで大幅に費用削減が可能です。
更に、保守点検の回数についてもメンテナンス会社に相談し減らすことで費用の削減に繋がります。

エレベーターの点検費用を削減するもう一つの方法としては、保守会社自体を見直すことです。
エレベーターの点検をする保守会社は、主に「メーカー系」と「独立系」に分けられます。
メーカー系の保守会社は、単一のメーカーのメンテナンスを専門にしているため、独占的になり費用が高くなりがちです。
一方で、独立系のメンテナンス会社は、特定の系列に属さずあらゆるメーカーのエレベーターを幅広く保守点検しています。
独立系は、メーカー系とは異なり独占的な価格設定を行わないため、点検費用がメーカー系よりも割安です。また、独立系であっても幅広い知識と高い技術力を持っているのでその点で心配はいりません。
そのため、保守会社をメーカー系から独立系に変更することも、大きな費用削減になるでしょう。

ここまで、エレベーターの保守点検費用を削減する方法をご紹介してきました。
エレベーターの保守点検を削減するには「フルメンテナンス契約」か「POG契約」かという契約形態の比較や保守点検の回数が大切です。
また、保守会社を「メーカー系」か「独立系」かの選択も費用削減できる大きなポイントになります。
特に竣工から一度も比較検討をしていない、近いうちにリニューアルなどの改修工事の予定もある、という方はエレベーターの状況に合わせて、賢く点検費用削減を検討してみましょう。